①【次代へ継承可能なデータへの移行】(記録)
「沖縄の海で生きる人々」が撮影されたフィルム時代のネガやポジは経年劣化し、2000年代のデジタルカメラ機材で撮影されたデータもフォーマット互換性の観点からデータを変換する必要性が生じている。
劣化し消失寸前の記録を次代へ継承可能なデータへ移行する。
人々が撮影されたネガフィルムやポジフィルムは経年劣化し、貴重な記録も消失寸前です。
新しく撮ることが不可能なこうした記録を継承可能なデータへ移行します。
ちなみに、2000年に撮影したタコ取り名人の写真はネガを使用していますが、デジタル化することで次世代にも届けることができます。
もう一枚は、2005年にポジフィルムで撮影した宮古島の伝統行事「ゆーくい」ですが、高齢化や後継者不足により、女性の司(ツカサ)が執り行う村のすべての祭祀が2013年から止まっており、新しく撮影することは不可能です。
②【撮影地のフィールドワーク調査】(情報)
写真は記憶や言葉を引き出す糸口となる。
撮影地での聞き取りを目的としたフィールドワーク及び写真展を開催し、大勢が集まる場所に過去の写真を展示することで地域住民のコミュニケーションを誘発し、新たな記憶から呼び起こされた情報を文書にまとめることで、写真の一次あるいは二次資料としての価値の向上を図る。
写真は記憶や言葉を引き出す糸口となります。
撮影地での聞き取りを目的とした写真展を開催し、新たな記憶から呼び起こされた情報を文書にまとめることで、写真の一次あるいは二次資料としての価値の向上を図ります。
写真左は、昭和一桁生まれの女性たちがタコや魚を歩いてとるイザリ漁。右は、久高島の夏祭りで、男たちが追い込み漁でとってきた魚を処理している所です。こうした写真からは、環境・風土・技など、背景にあるさまざまな情報を読み取ることができます。
③【バイオメカニクスを取り入れた新たな鑑賞形態の提案】(鑑賞)
「写真鑑賞」とは、被写体や構図などの調和を楽しむ芸術体験だが、写真鑑賞へ新たに「バイオメカニクス」の観点を取り入れ、新たな鑑賞層の開拓を図る。
スポーツ科学者の論理的な観点から海人の身体操作を紐解き、自然環境の中での人間の営みが理にかなった動きを示すことで、自然環境・文化と調和し“カラダ”に刻まれた先人たちの英知を写真を通じて鑑賞者へ伝える。
写真におけるバイオメカニクスの観点は、芸術、特に身体表現との親和性があり、パフォーミングアーツの活動を行っている表現者にとっても自文化理解や表現手法で刺激を与えることが出来ると考える。
「バイオメカニクス」=生体力学の観点を取り入れ、スポーツ科学者の視点から、自然環境下での人間の営みが理にかなっていることを読み解き、カラダ”に刻まれた先人たちの英知を鑑賞者へ伝えます。
写真左は、頭上運搬の女性。右は、天秤運搬です。どちらも首、背骨、腰の位置など、重心が重要で「力でなく技」で運びます。
理にかなった動きは、機能的でかつ美しい姿勢を保ちます。
④肖像権問題を解決する
「写真を撮らせてください」「いいよー」と、撮影当時は口約束で了承を得ていたとしても、肖像権が曖昧となっていることで、どこにも発表できず、結果的に埋もれてしまう写真も多く、大きな問題となっています。
故人の場合、親族からどのようにして許可をいただくのか、誰が肖像権を引き継ぐのか、専門家とともに解決し、次世代へ有用な資料としたいと考えます。
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